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仮想デスクトップを求める人に「AWS WorkSpaces」は有益なのか試した

こんにちは、クラウドアドバイザーの後藤です。

「AWS WorkSpaces」はクラウド上に仮想デスクトップ環境を提供するサービスです。今回このWorkSpacesの利用について調べる機会があったので、メリットや料金形態、利用方法についてご紹介したいと思います。

WorkSpacesのメリット

WorkSpaces最大のメリットは、仮想デスクトップ環境を安価に導入できる点です。

WorkSpacesは仮想デスクトップの新規構築からセキュリティ対策やサポート、破棄までを管理画面上から一元管理でき、物理的なPCのように個別対応する管理コストを大幅に減らすことができます。

企業が自社ネットワーク内に仮想デスクトップ環境を構築するには莫大な設備費がかかりますが、AmazonがAWS持ち前のインフラを活かして「WorkSpaces」として安価に提供しています。

具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 入退社などに伴うPC環境の新規構築や破棄を、複数台一括して対応可能
  • 物理的・システム的にデータがAWS上にセキュアに保たれる
  • タブレットからでもデスクトップ操作が可能
  • エンジニア不要で導入できる

また仮想デスクトップにインストールするアプリケーションも一元管理できる「WorkSpaces Application Manager」の機能もあるのですが、残念ながら東京リージョンではまだ使えません(2017年9月現在)。これが使えれば、任意のアプリをインストールした環境を一度に数十・数百と作れるので、大企業や教育機関での導入など夢が広がります。

WorkSpacesの利用シーン

仮想デスクトップを一括してすぐに構築・破棄できる特性は、例えば以下のようなシーンで便利だと考えられます。

🏠 在宅などリモート勤務での利用
場所を問わず同じ環境で業務ができ、データもローカルPCに残さないのでリモート勤務でもセキュリティを保てます。様々なワークスタイルに対応しやすくなります。

📚 教育機関での利用
教育機関では1台のPCを複数人で使い回すことも多く、年度ごとの生徒の出入りも発生するのでWorkSpacesがマッチしています。

🕓 臨時の雇用やパートタイマー従業員の利用
シンクライアントから一時的な作業をする従業員ならば、従量課金プランの選択でより安価に使うこともできます。

ではWorkSpacesの料金について見てみましょう。

WorkSpacesの料金

WorkSpacesはサービス自体の利用料金に加えて、仮想デスクトップ上でインターネットを使った場合に通信料も発生します。その両方についてご紹介します。

基本料金

WorkSpacesはAWSの中ではユニークな料金形態を取っており、月額料金時間料金の2つの形式から選択できます。

バンドル 月額料金 時間料金
バリュー 34 USD 10.00 USD/月 + 0.30 USD/時
スタンダード 47 USD 14.00 USD/月 + 0.40 USD/時
パフォーマンス 78 USD 19.00 USD/月 + 0.74 USD/時
パワー 118 USD 26.00 USD/月 + 0.89 USD/時
グラフィックス 30.00 USD/月 + 2.41 USD/時

参考:Amazon WorkSpaces 料金表 東京リージョン

月額料金は固定料金で仮想デスクトップを1ヶ月24時間無制限に利用でき、時間料金は少額の月額料金+従量課金という形です。時間料金はフルタイムで使うと割高ですが、非常勤のパートタイム利用なら時間料金で使い分けることができます。

通信料

WorkSpacesの仮想デスクトップで発生する通信は大きく以下2つです。

クライアントPCから仮想デスクトップを操作する時の通信 無料
仮想デスクトップ上でインターネットを利用した時の通信 有料

後者についてはEC2の通信と同額の通信料が発生します。

インターネットの受信は無料、送信は最初の1GBは無料、以降1GBあたり$0.14かかります。

例えば毎日100MB(月3GB)の通信を送っていたら月$0.28になります。毎日40〜50枚以上の写真や動画など大容量ファイルを送信しなければそこまで達しません。

利用シーンにもよりますが、仮想環境1つあたりの通信料は月50円(4GB分/$0.42)と見積もっておけば充分と考えられます。

WorkSpacesを利用する

料金が分かったので実際に使い始めてみようと思います。

AWSのアカウントは取得している前提で、WorkSpaces公式ドキュメントに従って進めていきます。

仮想環境を作る

AWSコンソールにログインした後、WorkSpacesのコンソールを開きます。

初めてWorkSpacesを利用する時は以下の画面が表示されます。「Get Started Now」をクリックします。

以下の画面の「Quick Setup」にある「Launch」をクリックします。

次に構築する仮想環境とユーザーを設定します。

上記画面よりまず「Bundle」の一覧から利用するスペックを選択します。今回は「Standard width Windows 10」を選択しています。WorkSpacesの利用が初めてならば「Free tier eligible」とある2点は1ヶ月無料で試せます。

Language」には「Japanese(日本語)」を設定し、「Enter User Details」に利用するユーザー情報を入力します。

設定が済んだら「Launch WorkSpaces」をクリックします。
次の確認ページで「View the WorkSpaces Console」を押すと下記コンソール画面へ移動します。

作ったばかりの仮想環境は PENDING(待機中) 状態ですが20〜30分ほどで AVAILABLE(利用可能) になり、先ほど指定したユーザーのアドレスへWorkSpacesの利用の案内が届きます。

ほんの数ステップですが、管理者が仮想デスクトップを構築する際の操作は以上になります。
次はユーザーとして仮想デスクトップを使ってみます。

WorkSpacesの仮想デスクトップを利用する

仮想環境が有効化されると指定していたアドレスへメールが届きます。

メールに記載されたURLを開くと以下のユーザー登録の画面が開きます。ユーザー名などは構築時に設定したものが入っているので、パスワードのみ入力して「ユーザーの更新」をします。

ユーザーの更新をした後、以下の画面へ進みクライアントソフトをダウンロードします。利用しているデバイスに応じてハイライトされているので、適切なものをダウンロードしてインストールしましょう。

インストールしたアプリを起動すると最初は以下の画面になるので、メールに記載されていた「登録コード」をコピペして認証を通します。

登録コードを入力するとログイン画面に移ります。このままでも利用できるのですが、ここで一旦日本語化します。

以下の画面はMacのものになりますが、メニューバーから「Options > Advanced Settings」を開きます。開いたオプションの「Select a language」を日本語に変更して「Save」します。

これでログイン画面が日本語になりました。先ほど登録したパスワードを入力してログインしましょう。

見事、仮想デスクトップの利用を開始できました🎉

WorkDocsでファイル共有

WorkSpacesで仮想デスクトップを作ると同時にWorkDocsのサービスも有効化されます。「AmazonのDropbox」と言えるサービスで、仮想デスクトップ間のファイル共有に利用できます。

仮想デスクトップを一つでも作っていれば、WorkDocsのコンソールにアクセスすると以下の画面のようにWorkDocsの環境も作られています。サイトURLクリックでサービスサイトが開き、仮想デスクトップのユーザー情報でログインできます。

上記画像内のサイトURLの赤く伏せたサブドメイン部分は、仮想デスクトップからWorkDocsを利用する際に必要になります。仮想デスクトップからWorkDocsを開始する手順は以下になります。

1. 前述の赤く伏せたサブドメイン部分を入力。

2. 仮想デスクトップのログイン情報でログイン

3. 共有フォルダを指定

4. 共有方法を指定

※「Zocalo」というのはWorkDocsの旧名です。

以上の設定で「WorkDocs」フォルダが作られ、そこに入れたファイルが自動でアップロードされるようになりました。ファイルの共有などの操作はWorkDocsのサイトURL側で行えます。

WorkDocsの料金

WorkDocs料金

WorkSpacesのユーザーに関しては1ユーザーあたり50GBが無料で利用できます。そのため上記の手順で紹介したWorkDocsの環境は無料で扱えることになります。

WorkSpacesを使わずWorkDocsのみで利用すると1ユーザーあたり1TB/月$5〜の料金がかかります。

仮想デスクトップの使用感

実際のビジネスユースを想定して以下の操作を試しました。

  • Webサイト閲覧&Youtube動画再生
  • Googleドライブでスプレッドシートとスライドの編集操作
  • OpenOfficeをインストールしてWriterとCalcの編集証左

クラウド上の仮想デスクトップのため通信ラグは避けられず、マウスカーソルが一瞬遅れて動くようなコンマ1秒以下の操作遅延を感じましたが、オフィスソフトを扱うビジネスユースには充分と感じられました。

反面、開発者やクリエイターなどPCをヘビーユースする人にはほんの一瞬の操作遅延はストレスが溜まりそうに思えます。クリエイティブ作業に向いたハイスペックなバンドルもありますが、通信ラグだけは解消できません。

細かい点として、私はMacのクライアントからWin10の仮想デスクトップを試したのですが、Macキーボードの「英数」「かな」をWin10が最初認識してくれなかったので日本語入力の切り替えにやや手間取りました。

タブレットからの利用

特徴にも謳われているタブレットからの仮想デスクトップの利用も試してみました。

スクリーンショットでは丸っきりWindowsなのでiPadの画面に見えないと思いますが、画面左にある扇形のタブレット専用UIを引き出せます。

iPadでWin10が操作できるのは面白いのですが、タッチ操作に最適化されておらず操作性が厳しいです。閲覧専用などあくまでサブ的なものと考えた方が良いです。

まとめ

AWS WorkSpacesは、管理者として環境構築する際も、ユーザーとして仮想デスクトップを利用する際も、エンジニアスキルが必要ないため一般的なシステム管理者であればすぐに導入できるサービスだと感じました。

冒頭にも書きましたが「WorkSpaces Application Manager」がまだ東京リージョンで使えないことが痛いので、これが使えるようになればかなり強いビジネス提案が出来るのではと思います。

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